【参加報告】「3×3Lab Future オープニングシンポジウム 第1回:水環境・ビジネスを考える」
2016年2月26日に開催された【3×3Lab Future オープニングシンポジウム 第1回:水環境・ビジネスを考える】に参加してきました。
地球温暖化が進む中で一番はじめに被害に結びついていくと思われるのが水循環の激変です。実例や企業の取り組みを交え、この問題を3名の方がスピーチされましたのでシェアいたします。
最初のお話は、 慶應義塾大学大学院特任教授・元環境省環境事務次官の小林 光さまが『水から始まる地球の危機』というテーマでした。
最初は地球の異変の模様についてのIPCC・WG2の報告書の概要についてのお話でした。
ここ数十年、すべての大陸と海洋において、気候変動による自然及び人間システムへの影響が現れている。※前回の報告書では、「影響を受けつつあることを示している」とされており第5次報告ではより断定的な書き方に変わった。
1986年~2005年の平均気温からの気温上昇と影響の関係は以下のように予想されている。
1℃の上昇・・・極端な気象現象による熱波・沿岸洪水などのリスクが高くなる
2℃の上昇・・・サンゴ礁システム等への膨大な影響、作物生産の減少リスクが高くなる
1~3℃の上昇・・・グリーンランド氷床消失による7メートルの海面上昇など不可逆な変化が生じるリスクが高まり、人間社会に膨大な影響を及ぼす
8つの主要なリスク
確信度の高い複数の分野や地域に及ぶ主要なリスクとして、以下の8つが挙げられています
1・・・海面上昇、沿岸での高潮被害などによるリスク
2・・・大都市部への洪水による被害のリスク
3・・・極端な気象現象によるインフラ等の機能停止のリスク
4・・・熱波による、特に都市部の脆弱な層における死亡や疾病のリスク
5・・・気温上昇、干ばつ等による食料安全保障が脅かされるリスク
6・・・水資源不足と農業生産減少による農村部の生計及び所得損失のリスク
7・・・沿岸海域における生計に重要な海洋生態系の損失リスク
8・・・陸域及び内水生態系がもたらすサービスの損失リスク
かなりの割合で水に関するリスクがありました。
次に地球温暖化を防ぐ対策技術の紹介がありました。
地球温暖化の防止の為の対策とは・・・
CO2の排出を減らすこと
・使うエネルギーを減らすこと
・エネルギーの中の炭素分を減らすこと
・排ガスからCO2を分離して地中処分
CO2を空気から吸収すること
・森林を増やすこと、木材を活用すること
節水、資源使用効率向上など
これらを複数の対策を同時におこなうと相乗効果が期待できる。例えば省エネと低炭素エネルギー供給の組み合わせなどでかなりのCO2削減が可能だそうです。
最新鋭の事務所ビル(京橋のTOKYO SQUARE GARDEN)では、太陽光発電、断熱・遮熱性の高い外装、自動通風・換気システム、LED照明などにより、従来のビルのエネルギー消費を50%以上削減。
一般家庭でもCO2削減できるツールとしては、ガスの燃焼熱を徹底的にお湯に移す工夫をした給湯器。従来のものより、十数%の省エネになり、排気も4分の1になる。風呂好きな日本人にはとても使えると思いました。
後半は国際社会の対策についてで、COP21(パリ協定)の話や、対策技術を使ってのビジネスについての話になりました。
世界各地で気候災害が頻発しているので、今こそ行動の時!
・低炭素化は大きなビジネスチャンス
・日本は今低金利で投資先がない。新しい経済への移行が必須
・環境の価値が分かる人間を育て、環境の価値を高めると環境の為に資金が動き、知恵や技術が高まる
CSVは三方良しのビジネス!
これからはコラボレーションが鍵になり下記の3つが重要と話がありました。
コ・デザイン(共創)
コ・ベネフィット(共有)
コ・エボリューション(共進化)
私たち協会としましても地域活性あんしん交流会やイベントや勉強会などを通してたくさんの方の絆を結んでいけたらと思いました。
ゲストスピーチは
『TOTOの「水環境貢献」 ~水と地球の、あしたのために~』木村 博幸さまのお話でした。
(TOTO株式会社 ESG推進部 環境商品推進グループ グループリーダー)
節水して、CO2を減らそうという話でした。1965年のトイレは1度流すと20リットル必要だったのが、2012年には3.8リットルで流せる節水トイレまで進化したそうです。
他にも節水シャワーの紹介やお湯が冷めにくいバスタブなどの紹介もありました。
上水から水を運ぶのに電気を使うので、節水するとCO2削減になるそうです。また素早く温まるガスにすれば待ち時間が短くなるので節水になるという提案がありました。
最後のゲストスピーチは
『お濠の水環境改善への民間の取り組みについて』という題で渡邉 仁さまのお話でした。
(三菱地所株式会社 開発推進部 街づくり支援室長)
皇居の周りのお濠の水を浄化する民間の社会貢献活動についてのお話でした。3×3labの入っているjxビルの地下には巨大な貯水槽があり、そこに皇居のお濠の水を入れ浄化してお濠に戻すというシステムだそうです。雨が降ってお濠の水が増えすぎたら貯水槽に溜め込む、逆に少なくなったら貯水槽からお濠に水を送るといった天候に合わせて水位を変えることも可能だそうです。
最後はディスカッションや質疑応答の時間でした。
やはり我慢してエコをするのでは続かない。快適で続けられるものがいいですねという話になりました。